「正規雇用=ハッピー」ではない令和時代、自分のキャリアの方向性の見つけ方。

自分のキャリアに会社は責任を持ってくれない、終身雇用時代の終焉、副業・兼業時代のキャリアの方向性の見つけ方。

先日トヨタ自動車の豊田章男社長による終身雇用をめぐる発言が話題になった。豊田氏は「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」という発言をしている。

経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は、終身雇用について「制度疲労を起こしている。終身雇用を前提にすることが限界になっている」と持論を展開した。

社会はすでにそういう枠組みが合わなくなっているのはもう10年以上前からわかっている人も少なくないだろう。これらの発言内容自体は何を今更という感じでしかないが、やはり日本を代表する大企業のトヨタ自動車や、終身雇用をはじめとする日本型経営を擁護していた経団連がこのようなことを言い出したのには「いよいよか」という感じがした。

彼らがそう発言した背景には経済の成熟による成長鈍化や、IT、ロボティクス、AIなどによる仕事の代替がますます進んでいることなども影響しているが、それだけではない、2018年の10月にトヨタ自動車とソフトバンクが業務提携し、モビリティサービスの新会社立ち上げることを発表した。自動運転やライドシェアなど大きく業界が変化していく中で、社内完結するのではなく、違う業界と技術を持ち寄り、新しい価値を生み出していくということが、連続的に行われていくことが当たり前になってきている。

そうなってくると、当然、高い経費をかけて人材を抱え込みすぎている状態は単に経営を圧迫するだけだ。企業は箱ではなく生き物だ、生き物である以上、社会の変化に合わせて変化して然るべきで、今起こっていることは、ビジネス環境・社会の変化に対して単に「形態」を変えようとしているだけにすぎない。

企業同様に個人も意識を変えないとこの緩やかで大きな変化の波に飲み込まれてしまう。

最近の20代の人を見ていても超安定志向の依存型と超起業家志向の創造型に2極化しており後者は大手企業について「潰しの効かない大手企業」という言い回しをしており、ハナから選択肢に入れていない学生も多くいる。

個人的には、起業をしようが、ベンチャーに入ろうが、大手に入ろうが、そんなのはどれも一つのキャリア形成の「手段」にすぎず、どれをとっても一長一短だと思っている。ベンチャーでは、入社初年度から、あらゆる実務に携わるし、意思決定のスピード感もある、責任のある仕事などもどんどん任される。一方大手は、職種にもよるが、教育が手厚かったり、それまでにその企業が築き上げてきた、すでにある大きな土俵の中で大きな仕事に携わることができたりする。

安定の代名詞だった大手企業が次々と早期退職を募集したり、銀行がリストラする時代。雇用されるとういうのも単なる一手段になっている中で、ここに勤めていれば安心なんていう安住の地なんていうものはそうそうない。もちろんベンチャー企業や自ら起業をするのも、もちろん甘くはない。どこにいて、何をしていようとも、自分を高め続けていなければ、気がつけば、淘汰の波の中だろう。

重要なのは、自分は10年後にどのような自分になっていたいかというビジョンを明確に描いて、それに対して、自分で責任と覚悟を持つことだ。当たり前のことだが、自分の未来に対して、唯一責任を持てるのは「今の自分」でしかない。今までももちろんそうだったのだが、これからはより一層それが重要になる。企業の中にいようが外にいようが誰に対してもそれは言える。

やりたい事を探さず、◯◯◯を探すと方向感が定まる。

自分のキャリアと言っても、どのような方向に向かって伸ばしていけばいいか、わからないという人も多いのではないだろうか。それは自分が「やりたいコト」をいつまでも探しているからだ。

私は就職や転職の相談にも乗ることが多いのだが、多くの人が「やりたいコトがない」という。私も正直に言えば、やりたいコトなんて見つかった試しがない。だが、やりたいコトはなくても情熱を燃やすことができるものの見つけ方は知っている。私は「やりたいコト」という軸では考えないことをオススメしている。

やりたいコトを考えるのではなく「なりたい自分」と「つくりたい社会」の2軸で考えると大きな方向性が見えてくる。

自分のキャリア形成の方向性を見つけるための3ステップ

最初のステップとしてなりたい自分を描いていく。

だいたい10年後くらいをイメージし、できる限り理想的なことを書き出す。「どんな生活をしていたいか(経済的要因)」「どんな人に囲まれていたいか(コミュニティ的要因)」「どんな毎日を過ごしていたいか(ライフワーク的要因)」くらいの要素において、できるだけ詳しく、そしてできるだけ”ニヤニヤ”するくらいの妄想をする。

次のステップとしては「どんな社会に生きていたいか」を考える。

これは今の社会に対する自分が不満を感じているポイントを見ていくとわかりやすい。「自殺者がもっと減ったらいい」とか「美味しいものをもっと安く食べられたらいい」「介護疲れする人が減ったらいい」など、なんでもいいし、具体的でなくても、多少抽象的なぐらいで丁度いい。私はここでたどり着いたのは「もっとイイ顔して楽しそうに生きてる人が増えたらもっと楽しい社会になるのになぁ」というかなりザックリしたものしか出てきていない。

3つ目のステップは上記2つのステップを満たす手段は何があるかを考える。

10年後に描いた自分像と、自分が生きたい社会、つくりたい社会を実現するためには、どういう業界で、どのような働き方で、どのような経験、どのような人脈やコミュニティが必要なのかを考える。これらはあくまで実現のための「一つの手段」にすぎないし、手段は無数にある。

多くの人が自分のキャリアの方向性を見誤るのは、まず「何をするか」「したいコトは何か」といきなりTODOにフォーカスするからだ。就職活動の時に「自分のやりたいことは何か自己分析しよう」なんていうのは、ある種従順な従業員をつくるためのプロパガンダなんじゃないかと思ってしまう。

なりたい自分の姿、実現したい社会の2軸は目的であり手段ではない、目的が無いのに手段をいくら考えたって見つかりはしない。目的地が明確になれば、自ずと方向性が見えてきて、その先にようやく具体的なTODOという道が見えてくる。

なりたい自分の姿だけではダメな理由

自分がなりたい10年後の姿だけではなく、「つくりたい社会」という軸を持っているのには大きな理由がある。経済的な成功をしたいだけなら、手段はいくらでもある。経済的に豊かになれば、ある程度は自分のしたい生活はできるだろうし、どのような人に囲まれたいかというのももしかすると満たされるかもしれない。

しかし、それだけでは、人は満たされないと私は確信している。人は社会的な生き物であり、社会との関わりを持つこと(社会に対して何か表現をすること・貢献すること)で間違いなく何かしらのエネルギーを得ている。

年齢を重ねても老けない人、年齢を若くしても老け込んでいる人がいる、生活習慣にも影響はあるのだろうが、多くの場合、社会との関わり方が影響している。仕事も社会との接点の一つであるが、それをやらされ感を持って仕方なくやっていれば、どんどん老け込んでいくが、こういう社会にするんだという情熱を持って取り組んでいる人では同じ仕事をしていても老け方が全然違う。

定年を過ぎて仕事を引退し完全に隠居してしまう人は一気に老け込む人は多い、仕事をやめてもライフワークとして地域や趣味を通じて何かしらの社会活動をし続けている人は何もせずにいる人よりも見た目もエネルギーも若々しく見える。

社会というキャンパスに何を表現するかは、人それぞれであり、それぞれの「好奇心」が指し示してくれるから正解はない。

私は「なりたい自分」と「実現したい社会」という2軸でキャリアの方向性を考えることを推奨している。この2つがかけ合わさっている時は必ずあなたは内側から輝けると思っている。
もしあなたが、自分のやりたいコトがわからなかったり、どこに向かってキャリアを形成していけばいいかと悶々としているのであれば、ぜひ試して見て欲しい。

具体的なキャリアの磨き方などは、また別の記事で。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

古澤慎之介
古澤慎之介プロデューサー・編集長

ULL編集長、マーケティングのノウハウと、エネルギーマネジメントを武器に、組織課題の発見と解決プランの策定、さらには実行する際のチームビルドと人材育成までを支援。
“日本にもっと「イイ顔」している人を増やしたい“という想いのもと、広告会社、エンタテインメント会社での経験を経てマーケティングディレクターとして独立。マーケティング課題の発見と、ソリューションの提案だけでなく、実行できるようメンバーの育成、チームビルディングまで行う。自身の実践的な体験からエネルギーマネジメントという独自の人材育成の理論とコーチングの手法で、人のポテンシャルを最大化し組織の本当の力を引き出す。

一般社団法人グローバルリーダーシップコーチング協会(GLC)の立ち上げで出会った藤井義彦氏と世界で活躍する講演家のジムバグノーラ博士をメンターとして師事、2018年、ジムバグノーラ博士より「PhB・マスター・プラクティショナー」として認定される。


【活動領域】
●マーケティング戦略 ●組織変革・チームビルディング ●パーソナルブランディング ●コーチング ●PhBマスタープラクティショナー ●クレイセラピー(国際クレイセラピー協会認定クレイセラピスト) ●エネルギーマネジメント