自己対話のススメ:自分の本音を自分が無視しているから「寂しさ」がやってくる。

「寂しさ」や「孤独感」と自分の本音との関係。

社会生活をしていると、ほぼ毎日のように誰かと顔を合わせる。家族や恋人などのパートナーや、仕事に行けば上司や同僚、部活、お客様やビジネスパートナー、アフター5に飲みに行く友人などなど、1日に何人もの人と関わりをもつ。街に行けば無数に人がいて、カフェや買い物でも店員さんなどとの接触もある。

これだけ人に囲まれて生活をしているのに、人は時に孤独感を感じたり、寂しさという感情を味わったりすることがある。

感情を感じることは、特に問題があることではないが、それが何のサインであるのかを知っておくことは大切だ。

寂しさや孤独感は、自分以外の誰かが自分をおざなりにするから出てくるのではない。自分の内側にその原因がある。

では、その正体は何なのか。

寂しさや孤独感を引き出すのは自分自身との関係性。

寂しさや孤独感は、自分以外の誰かとの関係、例えば、彼氏が構ってくれないだとか、奥さんが話を聞いてくれないだとか、仲間外れにされたとか、そんな時に感じたりするので、一見他人との関係によってもたらされると考えがちだ。

しかし実際はそうではない。

意外かもしれないが「自分自身とのコミュニケーションがうまく取れていないから」というのが最も大きな原因なのだ。

寂しさや孤独感は、自分の本音を自分自身が無視してしまっているから沸き起こる感情だったりする。

自分の本音を自分自身が無視している?どういうことだろうか。

自分と対話し、自分の本音を聴き、自分の本音を受け止めること。

自分の本音を聴こう!と言ったとしても、いまいちピンとこないかもしれない。「自分の人生、本音で生きてるに決まってるでしょ」と思うかもしれない。まさに私がそう思っていたから、そう言いたいのもよくわかる。そこをグッとこらえてもう一歩先に進んでみてほしい。見えてくる世界が変わってくる。

私たちは自分の本音で生きていると思っている。もちろん、会社や家庭の中でそうもいかない時もあるが、基本的に自分の本音に従って生きている。

私もそう思っていたが、私たちはびっくりするくらい本音で生きていない。

本当の本音は、あるフィルターによって奥に押し込まれている。そしてそれに私たちは気が付いていないことが多く、無意識のうちに自分の本音を無視して生きてしまっている。

寂しさや孤独感は、自分自身の本音を無視している本当の自分の心のノックなのだ。その本音を見えなくしてしまっているものは何か。

私たちの本音を奥に閉じ込めしまうもの。

自分自身の本音を閉じ込めてしまうものは何か。

それは「こうあるべき」という思い込みや「状況的に仕方がない」という思考が、本当の本音を押し込めてしまっている。例えば、今日のランチで何を食べるかという時に、あなたの思考は以下のような思考のフィルターが発動してはいないだろうか。

「給料日前だし、節約するか」
「時間がないから、コンビニにするか」
「みんなが中華って言ってるから」

本当は〇〇が食べたいんだけど、××だからこうしようという思考が当たり前になっています。「給料日前だし、節約するか」の前提には、本当は◯◯が食べたいけどという前提があるし、「時間がないからコンビニにしよう」では、時間があれば本当は〇〇食べたいけどという思いがある。「みんなが中華と言ってるから」は、私は〇〇が食べたいけどという前提が隠れている。

ランチに限らず、仕事後の時間の使い方や休日の過ごし方、買い物の仕方やパートナーとの関係などでも、あらゆるところで、自分の本音を思考のフィルターが邪魔していたりする。思っている以上に私たちは本音を押さえ込んで生きている。

「寂しさ」や「孤独感」は、自分の心の本音を無視していることを自分に知らせてくるサインでもあるのだ。

本音の聴き方と、本音との付き合い方。

では自分勝手に好きなように生きろというのかと言えばそれは違う。
時間がないのに、フレンチのフルコースランチを食べていたら、会議に遅刻し迷惑をかけるだろうし、給料日前で節約しなきゃいけないのに、特上のうなぎを食べてたら、いつか破綻するかもしれない。

自分の好きなようにするのではなく、自分の本音を拾うということが大切。「自分の本音を聴き、その本音を受け止めること、本当の気持ちがあることを認識すること」が大切だ。だから、実際に実行するかどうかとういう結果自体はあまり重要ではないということ。

結果に執着してしまうと、みんなが中華に行きたい、私はパスタがいいという時に、「今日は絶対パスタ!中華は却下」と言えば、何かしらの問題が起こるだろう。

しかし「パスタ食べたかったけど、中華もいいね!中華にしよう」と言えば何も問題も起きないだろう。だがちゃんと自分の気持ちを拾っているという点が大切だ。

口に出して言わなくても、心の自分に(パスタが食べたかったのね、今はダメだけど、夜は美味しいパスタ食べようね)と心に言い聞かせる。これもちゃんと自分の心を拾っている。

最もよくないのは、みんなが中華だと言ったから、なんとなくそんな気分じゃなかったけど、まあそれでいいかと心の本音を聴きもしないで、流されてしまうことだ。心の本音を拾えていない。案外こういう感じで自分の声を無視していることは多い。

そして大切なのは、本音は拾うだけでいいということだ。極端なことを言えば、結果はどうでもいいのだ。とにかくちゃんと話を聞いてあげる、かなえられるものは叶えてあげる。結果には一切執着しないで、とにかく拾ってあげる。

心の本音が拾うことの大切さを理解しよう。

上記のように、私たちは日々の生活の中で、思っている以上に本音を無視して生きている。「社会人はこうあるべきだ」「無駄遣いはするべきでない」「和を乱してはいけない」などなど、様々な教訓を持って生きている。これらひとつひとつは大切なことかもしれないが、それがあるがゆえに心の声に無頓着になっていることが問題だ。

「寂しさ」や「孤独感」という感情は、自分の心を自分が無視しているからこそ湧き出てくる感情であり、それが増せば増すほどその感情は大きくなる。

心の本音を拾うことができるようになってくると、「寂しさ」や「孤独感」が薄れ、大きな安心感に包まれているような感覚になってくる。これこそ心が満たされているサインだ。

思いの外、制限の壁で見えてこない心の本音。

何を食べるか、何をするか、どんな小さなことでもいいから、自分に問いかけてみる習慣をつけよう。最初のうちは答えが返ってこないことも多いが、それはまだ思考の制限の枠が外れていない証拠だ。「なんでもいいんだよ、時間やお金の制限がなかったら何をしたい?」ととにかく問いかける。

コーチングをしていて面白い例があったのでご紹介しよう。ある女性をコーチングしているときの話だが、彼女はとにかく真面目で、仕事一筋、休みの日はカフェで本を読んだり、資格の勉強をして過ごしているとてもおとなしい方だった。

そんな彼女のコーチングをしているときに「パリピが嫌いだ」という話が出た。だいたい嫌悪感の裏には嫉妬があることが多いのでじっくり掘り下げていくと、本人もびっくり「私も本当はみんなとワイワイしてみたい」という本音が出てきたのだ。彼女の本音を見えなくしていたのは”人からどう見られるか”ということや、”お利口さんでいなくてはいけない”という思い込みが邪魔をしていた。

このように、嫌悪感や嫉妬心の影に、本音が隠れていることもある。だから常に問いかける時は、「なんでもいいんだよ」と自分の内側に聞いてみる。そうすると徐々に自分の心は自分に語りかけてくれるようになる。思考(言葉)として湧いてくることもあれば、好奇心という形で表現されることもある。そういう時はしっかりそれを受け止めてあげればいい。ただし結果には執着しない。

One Point
1、自分自身の声をよく聴くことの重要さを理解する
2、「制限がなければどうしたいか」と聴いてあげる
3、出てきた答えを受け止めてあげる
4、結果には執着しない
5、制限となっている思い込みが何かを理解する

自分自身との関係をよくしていくと。

このように心の本音を拾い、自分自身との関係をよくしていくと、前述したように寂しさや孤独感は薄れ、大きな安心感の中で生きることができる。必要以上に人目を気にしてしまう人も、いつの間にか人目が怖くなくなってくるだろう。

そして徐々に余計な執着がなくなり、嫉妬心や劣等感を感じることも少なくなる。そして、不思議なことに、執着がなくなったものからどんどん実現していく。

私たちが生きている多様化社会の中には正解はない、どんなことでも一つの側面では正解でも、もう一方の側面からは間違っていることもある。そして違いが共存、共創、共栄していく社会の中では、相互尊重をベースに生きていくための第一歩としては、まず自分自身との関係性の向上は不可欠なものになってくる。

たまには自分と二人っきりの時間をつくって、たくさんお話ししてみてはいかがでしょうか。

古澤慎之介
古澤慎之介プロデューサー・編集長

ULL編集長、マーケティングのノウハウと、エネルギーマネジメントを武器に、組織課題の発見と解決プランの策定、さらには実行する際のチームビルドと人材育成までを支援。
“日本にもっと「イイ顔」している人を増やしたい“という想いのもと、広告会社、エンタテインメント会社での経験を経てマーケティングディレクターとして独立。マーケティング課題の発見と、ソリューションの提案だけでなく、実行できるようメンバーの育成、チームビルディングまで行う。自身の実践的な体験からエネルギーマネジメントという独自の人材育成の理論とコーチングの手法で、人のポテンシャルを最大化し組織の本当の力を引き出す。

一般社団法人グローバルリーダーシップコーチング協会(GLC)の立ち上げで出会った藤井義彦氏と世界で活躍する講演家のジムバグノーラ博士をメンターとして師事、2018年、ジムバグノーラ博士より「PhB・マスター・プラクティショナー」として認定される。


【活動領域】
●マーケティング戦略 ●組織変革・チームビルディング ●パーソナルブランディング ●コーチング ●PhBマスタープラクティショナー ●クレイセラピー(国際クレイセラピー協会認定クレイセラピスト) ●エネルギーマネジメント