イライラや怒りの感情はただの反応、感情の外側に行けば、もっと楽に生きられる。

 私たち人間は時に「感情」というものに翻弄され、それによってストレスを感じたり、余計な体力を使ってしまいます。私はエネルギーマネジメント(心の状態管理)について考えはじめ、自分でも実践してきていますが、この感情との付き合い方を理解し、実践するだけで、びっくりするくらい楽に生きることができることに気がつきましたので、そのエッセンスをお伝えしていきます。

「感情」とは何なのか。

 嬉しい、楽しい、悲しい、イライラ、怒り、不安、恐怖、これらは私たちのさまざまな心の状態を示した言葉です。これらについて、一歩踏み込んで考えてみると、感情というのは「無意識の反応」だということがわかります。
今、この記事を読んでいるあなたに、挑戦してみてほしいことがあります。

「今、怒りの感情を発してください。」

どうでしょう、怒れましたか?

「今、不安になってみてください」
「今、楽しくなってください」

 どうでしょうか、なかなか難しかったのではないでしょうか。もちろん怒ったフリはできます、不安な表情もできるでしょう、楽しいフリはできるはずです。しかし、その感情を意識的に出すのは不可能だということです。つまり意識の外のものだから無意識の反応と私は定義しています。

 中には、「私は怒りの感情が湧いてきた」という人もいるかもしれません、しかし、その人は何かしらの過去の事象を思い出したりしたのではないでしょうか。つまり、何かしらのトリガーがないと、感情というのは湧いてこないのです。これはあらゆる感情に対して言えることです。つまり、感情というのは何かしらの事象に対する反応だということです。

ちょっと感覚的に理解するのが難しいと思いますが、ここまでで大事なのは、感情は意識的に発することはできない、何かしらのトリガーが必要、そして、何かしらの事象に対しての反応であるということです。

「感情」は何に反応しているのか。

感情が無意識の反応であるということを頭に入れたところで、それぞれの感情がどんなトリガーで発動するのかを考えていきましょう。特に大事なのはネガティブな感情の代表格であるイライラ、怒り、不安、恐怖この4つに対して正しく理解することで、より楽に生きられますし、また、一歩踏み出す勇気にもつながってきます。

 私はこのサイトを通じて「エネルギーは友を呼ぶ」ということを何度もお伝えしてきていますが、イライラの感情を溜め込んでいると、イライラするような出来事がやってきやすくなり、不安を溜め込むと、次から次へと不安になるような出来事がやってきやすくなると思っています。

 まずはイライラ・怒りのトリガーについて考えていきましょう。同じ出来事が起こっても、人によって反応が違います、すぐにイライラする人や、穏やかなままの人など、沸点の違いは人によって違います。無意識の反応であることと、同じ出来事でも人によって違うということからわかるのは、出来事自体が問題ではないということです。

 つまり、その人の中にある「期待」と「現実で起きたこと」にギャップがある時に人はイライラ・怒りの感情が湧いてきます。「期待」とは言葉通り、対象に対する期待もあれば、「こうあるべき」というあなたの中にあるルールの場合も含まれます。いつまでもオモチャを片付けない子供に対してイライラするのは、子供が片付けないからイライラするのではなく、「すぐに自分で片付けてほしい」とか「部屋は綺麗であってほしい」のような期待に対してギャップが生まれているからイライラや怒りという反応が生まれるのです。

 日常の中でのイライラや怒りの対象は、自分の外側(人や出来事)のことである場合が多いです、例外として、もっと上手にやりたいのに(期待)、うまくできない自分(現実) のギャップにイライラすることもあります。

 自分の外側を変えようとしても本質的な改善にはつながりません。その場しのぎをしただけです。子供が片付けないことにイライラして、その感情を言動に乗せて、怒鳴りつけて強引にいうことを聞かせたとします。その時は、片付けるかもしれませんが、怒られたくないという短期的な動機(痛みを避ける動機)から、子供はそうしただけで、その場を過ぎれば、何度でも繰り返し、またあなたをイライラさせるでしょう。それ以外にも、あなたのことを嫌いになって、その他のところでもイライラする出来事が起こる可能性が増えてきます。

 私はイライラや怒りの感情を乗せた行動を「イライラ・怒りの種まき」だと思っています。種はすぐには芽を出しませんが、着実に育ち、時間差でまたイライラ・怒りの花を咲かせてあなたのもとにやってきます。

 感情が無意識の反応である以上、その発生にあなたにはどうすることもできません、イライラ・怒りの感情が湧いてきたら、まず自分にどんなルールがあるのか、どんな期待があるのか、そしてどんなギャップが生まれたことにより、イライラ・怒りのトリガーになったのかを冷静に考えてみましょう。怒りは6秒呼吸を整えれば収まると言われています。まず自分にイライラ・怒りという反応が出ていることに気が付くこと、そして、どんな期待・ルールを自分が持っていて、現実とどんなギャップが生まれたのかを観察しているうちに、6秒なんて軽くすぎていきます。これだけでも、イライラ・怒りの種まきをしなくてすみます。

 何度も言いますが、大事なのは自分の内側の状態を「嫌なエネルギー」で汚染させないことです。感情は無意識の反応ですので、反応しないようにすることはなかなか難しいものです。エネルギーマネジメントとして大事なのは嫌なエネルギーで満ちてるなということに気がつくことです。自分の無意識が反応していることに気がつくということは、感情の外側にいることになります。感情の外側に出たこの瞬間、感情に任せた損しか生まない無意味な行動をしてしまうリスクはかなり減ると言えるでしょう。

さらに、このサイトの読者であれば、自分の内側のエネルギー状態が嫌なエネルギーで満ちていることのリスクを思い出し、すぐさまフラットな状態に戻すための行動を取れると思います。

 怒りやイライラの感情は、それに満たされいる間は、あなた自身からその嫌なエネルギーが発せられ、その発したエネルギーの結果をあなた自身が受け取ることになるので、内側の状態をしっかりマネジメントしていく必要があります。マネジメントの第一歩は内側の状態に気がつくこと、そして感情の外側にいくことです。

 怒りやイライラの感情と同様に、マネジメントしておくべき嫌な感情があります、それは不安と恐怖です。これについても触れていきましょう。

不安や恐怖の正体

 怒りやイライラのエネルギーと同様に、不安や恐怖というものについてもしっかりと理解しておくことが大切です。怒りのエネルギーで満たされると、怒りたくなる出来事が寄ってくるのと同じ原理で、不安や恐怖もその感情に支配されていると、ますます不安を増長させる出来事がやってきます。

 まず不安や恐怖という感情が発生する要因は大きく3つあります。
1つ目は「自分の身に危険がある可能性のあることに出会った反応」2つ目は「正体不明なものに出会った時に出る反応」、そして3つ目は「起こってもいない未来の出来事を妄想している時に出る反応」です。これらも怒りやイライラと同様にただの反応です。

 自分お身に危険がある可能性があるものというのは、例えば、吊り橋などの高いところに行くと足がすくんだり、恐怖心を覚えます。山登りの途中で大きなクマに出くわしても恐怖を覚えるでしょう。ジェットコースターなんかもそうです。ただ、ジェットコースターやバンジージャンプ等でわかるように、恐怖の先には快楽が生まれる場合があります、これは人は恐怖の先に行くと脳内物質のアドレナリンが発出され一種の興奮状態になります。ジェットコースターを降りたばかりの人を見ているとやたらハイテンションになっていることからもそれがわかります。

 つまり恐怖というものは、自分の命に関わるリスクがあるかもしれないよと教えてくれるサインでもあるわけです。これは人間が動物として生き抜いていくために備わっている本能でもあります。しかし、ある程度秩序が出来上がっている現代は野生の虎に襲われたりすることもなければ、外に出たら強盗に襲われるなんてこともほとんどありません。

 2つ目の正体不明のものに出会った時の反応です。暗闇で恐怖や不安を感じることがあるように、何があるかわからないものに人は恐怖や不安を感じます。暗闇のようなものに限らず、仕事などでも、自分がやったことがない仕事や目標に直面した時に、恐怖や不安を感じることも同じと言えます。自分にとってチャレンジングなことに挑戦するときには常にこの恐怖や不安のサインが現れます。

 この対策は至って簡単で「正体を明らかにする」ということです。暗闇も光を照らして、正体がわかれば対応できます。同様にチャレンジングな仕事でも、その正体を明らかにして、どんな準備が必要か、どんなリソース(能力・時間・仲間など)が必要かがわかれば、ひとつひとつ対応していけば良いだけですので、不安は和らいでいきます。多くの人が新しいことへの一歩が踏み出せないのは、この暗闇の前でそれを明らかにしようとせず、妄想しているだけだからです。

 3つ目の「起こってもいない未来の出来事を妄想している時の反応」については、将来お金がなくなったらどうしよう、仕事がなくなったらどうしよう、病気になったらどうしよう・・・と起きてもいないことに対して永遠と妄想している時に湧き出てくる反応です。

 そうは言っても不安なものは不安でしょう。もちろんお金がなくなる未来もそうでない未来もあるでしょう、健康を害する未来もあれば、健康で活力にあふれる未来もあるでしょう。いずれも単なる可能性の話です。お金が不安なのであbれば、そうならないように今何をするか考えましょう、健康を害するのが不安なのでしたら、そうならないように今何をするべきか考えて、小さな一歩を踏み出すことです。

多くの人は、その一歩すら踏み出してもいないのに、妄想ばかりをして足止めされているということも少なくありません。 起こってもいない未来に不安を感じるのであれば、そうならないために、何が必要なのかを明らかにして、それをひとつひとつクリアしていけばいいのです。未来は今という瞬間の選択の積み重ねです。

このように、怒り、イライラ、恐怖、不安の感情は、あなたの人生をよくしてくためのサインにすぎません。それを上手にマネジメントして、より素晴らしい明日をつくっていきましょう。

古澤慎之介
古澤慎之介プロデューサー・編集長

ULL編集長、マーケティングのノウハウと、エネルギーマネジメントを武器に、組織課題の発見と解決プランの策定、さらには実行する際のチームビルドと人材育成までを支援。
“日本にもっと「イイ顔」している人を増やしたい“という想いのもと、広告会社、エンタテインメント会社での経験を経てマーケティングディレクターとして独立。マーケティング課題の発見と、ソリューションの提案だけでなく、実行できるようメンバーの育成、チームビルディングまで行う。自身の実践的な体験からエネルギーマネジメントという独自の人材育成の理論とコーチングの手法で、人のポテンシャルを最大化し組織の本当の力を引き出す。

一般社団法人グローバルリーダーシップコーチング協会(GLC)の立ち上げで出会った藤井義彦氏と世界で活躍する講演家のジムバグノーラ博士をメンターとして師事、2018年、ジムバグノーラ博士より「PhB・マスター・プラクティショナー」として認定される。


【活動領域】
●マーケティング戦略 ●組織変革・チームビルディング ●パーソナルブランディング ●コーチング ●PhBマスタープラクティショナー ●クレイセラピー(国際クレイセラピー協会認定クレイセラピスト) ●エネルギーマネジメント