「寂しさ」の正体と、多くの人が間違っているその満たし方。

 私たちの内側には、日々様々な感情が湧いている。嬉しさ、悲しさ、楽しさ、ワクワク、怒り等々。その中でもとりわけ支配されがちな感情として「寂しさ」や「孤独感」がある。

会社や学校に行けば同僚やクラスメイトがいる、友達がいないわけでもない、実家には家族だっている。都心であれば、街にはたくさんの人がいる。それにもかかわらず、私たちは時に寂しさや孤独感が湧き上がってくる。

多くの人が寂しさを感じる時に、私は独り身だから寂しいとか、遊ぶ友達が少ないから寂しいとか、そういったことが原因だと思いがちだ。しかし、これらはあくまでもキッカケに過ぎず、パートナーがいようが、友達がいようが、それは一時の緩和に過ぎず、またふとした瞬間に「寂しさ」はどこからともなくやってくる。

では、その寂しさの根本はどこにあるのだろうか。

寂しさの本質を知らずに寂しさを拗らせる人々。

 「寂しさ」や「孤独感」の本質は、パートナーがいないとか、友達がいないとか、家に一人でやることがないとか、そういった物理的なことが原因ではない。友人や恋人の存在以外にも、仕事も寂しさを紛らわせる効果がある、誰かの役に立っていると実感したり、褒められることができるからだ。しかしこれもまた、一時的なまやかしでしかない。これらで埋めることはできないのだが、その一時的なまやかしに、私たちは依存しがちだ。

恋愛依存になる人や、やたらと友達との予定を詰め込む人、LINEで友達と絶え間なく連絡を取り合っている人、評価欲しさに仕事をしている人などの多くは「寂しさ」の本質を知らずに、まやかし依存をして拗らせているケースが多い。

自分の外側でできることはただの「確認作業」だけだ。

 友達といること、パートナーと寄り添うこと、仕事で評価されること、人の役に立つこと等々、これらは一時的に「寂しさ」を緩和する。だから人はそれらを求めてひたすら活動します。これはある種の「確認作業」なのです。

何を確認しているかというと、「自分は愛されている」「自分は必要とされている」ということです。つまりは自分の存在を肯定したいのです。確認作業は自分が大丈夫であるという証拠を集めているのです。

恋人と別れた、友達に仲間はずれにされた、仕事で意見を否定された時などに、寂しさや孤独感がやってくるのは、その事象によって自分の存在が否定されたと感じるからです。

恋愛依存になりがちな人、とにかく予定を埋め尽くす人、やたらと背伸びをして認めてもらおうとする人も外側の一時的な確認をするために必死なのです。私にはそれがある種の悲鳴のように聞こえてきます。無意識の悲鳴です。

これらの「確認作業」は、本質的に満たされることがないので、永遠に終わりません。整形手術をした人が、次は次はと整形を繰り返すように、完全にラットレースです。次々と証拠を集めたところで、満たされることはありません。

私たちが本当に欲しいものは一体?

 私たちが本当に欲しいのは「自分で自分の存在価値を肯定すること」です。外側での確認作業では一時的にしか満たされないのは、これが本質だからです。外側の情報や、他人からの評価ばかりを気にして、自分の本当の声を無視していたり、自分を着飾りすぎたりして、本当の自分を愛していないから寂しさがやってくるのです。

寂しさは、自分の中にいる自分の声です。自分の本当の声を無視していたり、することで、自分の中にいる自分が寂しいということをあなた自身に伝えているのです。

自分の中の自分? 頭が混乱していますか?

私のコーチングでは「頭の声」と「心の声」と表現することもあります。頭の声は、知識とか知恵です”こうあるべき”というものや様々な情報をベースに頭の声は答えを出します。一見自分の本音に思えるかもしれませんが、それはあくまで情報をベースに作られた”概念”でしかありません。

しかし、心の声はもっと自由です。まるで3歳児のごとく自由な声です。なんの制限もありません。

ランチの時に、時間がないからラーメンにしよう。とか、今月はお金使いすぎたから、牛丼にしようとか、頭の声は合理的に考えます。しかし、本音はそこではありません。時間もお金も自由なら、ホテルのビュッフェでも行きたいなーとか、そういった本音があったりします。

月曜日に仕事に行くのが憂鬱な時があるかもしれません、でも頭の声は「仕事なのだから行かないと」とか、「行かないとクビになる」とか、「怒られるかも」と考えて、合理的に考えます。しかし、心の本音はそこにはありません。行かないで一日ゆっくりしていたいのが本音かもしれません。

しかし、心の声に従って会社を休みまくったら、それなりに不都合が起こります。なので、こういった心の声をちゃんと自分で”取り上げる”ことが大事なのです。「ああ、仕事行かないでゆっくりしたいのね、でも今日は頑張ろうね」という具合で一旦その声を拾ってあげることで、心の声は聴いてくれたことに安堵します。

ほとんどの人は、そんな心の声を押し殺しています。聞きもしません。

そう言ったことが重なると心の声は寂しさや空虚感のような感情で私たちにサインを送ります。実行するかどうかではなく、ちゃんと自分の声を聞いてあげることができるようになると、徐々に自分自身との関係性が深まってきます。

自分自身とのパートナーシップが出来上がると寂しさはやってこない。

 私が子供の頃に母親に隠れていたずらしたことがバレて「全部神様は見ているんだよ、神様に嘘はつけないんだよ!」なんて言われたことがあります。当時はそんなわけないだろと思っていましたが、実際に神様は存在したし、神様は全部見ているし、神様には嘘をつけないということがわかりました。

考えてみてください。あなたが唯一絶対に嘘をつけない存在がいます。

親にも、友達にも、上司にも、恋人にも、先生にも、嘘をつこうと思えば可能です。たった一人だけ嘘をつけない相手は「自分自身」です。

他人に対してどれだけ背伸びして、どれだけ良く見せて、着飾った自分をどれだけ認められたとしても、自分自身は騙せません。ありのままの自分ではないことを自分は知っています。しかし、着飾れば、人は愛してくれ、認めてくれる、仕事を頑張れば、褒めてもらえる。だからそれを永遠と繰り返してしまう。

確認作業のラットレースです。このラットレースに疲弊してしまっているのが今のストレス社会です。

自分の心の声の存在を思い出して、自分自身との対話する機会をつくってみてください。自分と散歩するのもよし、自分と二人で飲みに行くのもよし。そういった自分との対話の時間を取ってみることをお勧めしています。

自分自身とのパートナーシップを深め、本質的に寂しさから抜け出す3つの方法

1、比較をしない。

 社会で生きていると、どうしても他人と比較しがちです、あの人のあそこが劣っているとかそういう話をしている人がたまにいますが、それも自分が大丈夫である証拠が欲しいということに他なりません。自分に自信のない人ほど人と比較します。そして比較する時には必ず何かしら劣等感があります。

 つまり自分で自分のことを劣っていると頭の声が感じてしまいます。心の声は私は愛されている存在だと思っています。このギャップが寂しさとしてやってきます。

 昨今の情報社会の中で、比較対象は、身近な人だけではありません。成功者などの情報が山のようにある中で、あの人はすごい、私はダメだ。という比較になりがちです。また、こうあるべき、あああるべきと、様々な価値観がある中で、それができていない自分が劣っているように感じることもそうです。

比較をするのは全く意味がありません。今この瞬間のありのままの自分を肯定することです。
現状を肯定します、そして、もっと好きな自分になるために、何をするかを考え、行動します。

2、自分の本音を聞いてあげる。

 前述したように、心の声を聴く、行動できるものは行動する、できなくても声をちゃんと拾ってあげる。これを徹底することで、自分自身との関係性が深まっていきます。最初は慣れないかもしれませんが、これは本当に効果があります。

3、不足に焦点を当てない。

 現状を肯定しましょうと言っても、今の現実に満足していないという人も少なくないでしょう。しかしそれは、何かと比較して「不足している」ことに焦点が当たり、不満が生まれています。そしてそれが拡大していきます。

 「今あるもの」に焦点を当ててみましょう。大事なのは、「今も良い」でも「これがあればもっと素晴らしい」という視点に切り替えることです。今あるものに焦点が当たり、それが拡大していきます。

無いものや不足感に焦点が当たるのは、比較から始まりますし、劣等感につながります。この思考は一旦断ち切るべきです。

本当の自分、自分の心の声をあなた自身が無視していると、いつまでたっても寂しさや孤独感から抜け出せません。自分自身とのパートナーシップをしっかり結ぶためにも、まずは、あるものにフォーカスし、現状を肯定し、もっと好きな自分になるために、今という瞬間に行動していれば、どんな状況であれ、寂しさから解放されることができます。

「寂しさ」は、誰かがあなたをないがしろにしたから生まれるのではなく、あなたが、あなた自身(心の声)を寂しい思いをさせているからやってくるのです。自分自身のパートナーシップを大切に紡いでいきましょう。

古澤慎之介
古澤慎之介プロデューサー・編集長

ULL編集長、マーケティングのノウハウと、エネルギーマネジメントを武器に、組織課題の発見と解決プランの策定、さらには実行する際のチームビルドと人材育成までを支援。
“日本にもっと「イイ顔」している人を増やしたい“という想いのもと、広告会社、エンタテインメント会社での経験を経てマーケティングディレクターとして独立。マーケティング課題の発見と、ソリューションの提案だけでなく、実行できるようメンバーの育成、チームビルディングまで行う。自身の実践的な体験からエネルギーマネジメントという独自の人材育成の理論とコーチングの手法で、人のポテンシャルを最大化し組織の本当の力を引き出す。

一般社団法人グローバルリーダーシップコーチング協会(GLC)の立ち上げで出会った藤井義彦氏と世界で活躍する講演家のジムバグノーラ博士をメンターとして師事、2018年、ジムバグノーラ博士より「PhB・マスター・プラクティショナー」として認定される。


【活動領域】
●マーケティング戦略 ●組織変革・チームビルディング ●パーソナルブランディング ●コーチング ●PhBマスタープラクティショナー ●クレイセラピー(国際クレイセラピー協会認定クレイセラピスト) ●エネルギーマネジメント