人生100年時代、2000万円よりも大切な3つの資産。

定年後に老後資金が2000万円ないと、100年時代に資産が不足するという試算が出て話題になっていた。少子高齢化の中で年金はほぼ破綻しているし、企業も人を抱えきれなくなってきている昨今、こんなことはだいたいわかっていた話ではあるので、大した驚きはなかった。

100年時代を当事者として捉えて考えてみると、これ以上に重要なことがある。そしてそれは、定年を過ぎてから構築するのではなく、20代、30代のうちから構築していくべき資産だ。

100年時代なくてはならない3つの資産を簡単に紹介していこう。

1つ目は「健康資産」これは侮れない。

 100年時代を、楽しく味わい尽くすためには、やはり健康な体があってこそだ。自分の足で歩き、食べたいものを食べ、したいことをするためにも、健康は何よりも大切だ。医療の目覚ましい飛躍によって「死なない」ことが増えてきた今、「いかに健康な状態で生きるか」というものはとても重要だと言える。

 健康を資産と捉えると、あなたの今の食生活は資産構築に繋がる食生活だろうか、それとも資産を食いつぶしている食生活だろうか。また、あなたの運動量は資産構築に繋がっているだろうか、体型はどうだろうか。飲酒量はどうだろうか。日頃の睡眠時間はどうだろうか。飲酒量はどうだろうか。その他生活習慣はどうだろうか? あなたの健康資産を増やしているものかどうかを、一度考えて書き出してみることをオススメする。

 体の健康と同時に心の健康も大切だ。ストレス環境に身を起き過ぎていたりしないだろうか。自分を肯定できているだろうか。ちゃんと自分の本音を聞いてあげているだろうか。

 老齢化してくると、前頭葉の機能が低下してイライラしやすくなるとも聞いたことがある。そういう人に近寄りたいと思うだろうか、普段から心の健康もケアしておかないと、後からでは取り返しのつかない事になる。

 この心身の健康資産がなければ、いくらお金や時間があったとしても100年時代を楽しく生ききれないだろう。そしてこの資産については、一朝一夕で構築できるものではない、気づいた時が始め時だ。

2つ目は「人的資産」これも早い段階からの”慣れ”と積み重ねが必要。

 いわゆるコミュニティである。ゆるく繋がれるコミュニティを形成しておくことは、100年時代の後半には重要な要素となってくる。子供が巣立ち、会社生活も終わると、パートナーと二人きりの生活になりがちだ。それぞれが支えあいながらも、それまで別の道を歩んできている訳で、いざ二人だけの毎日になると、何をしていいかわからないなんてことにもなりかねない。

 よく聞く話だと、60にもなると、女性の方がコミュニティが確立していて、旦那さんとの時間にそう時間を作れないなんてこともあるらしい。また、特に男性は会社生活が長いと、いわゆる「アウェイ」の環境に慣れておらず、新しいコミュニティに入っていくのを億劫に感じる傾向があるという話もある。

 早い段階で、長く付き合える人たちのコミュニティを見つけようというのではなく、会社以外のコミュニティに出ていく習慣や、自らがコミュニティを形成して人を巻き込んでいくという経験を積んでおくことが重要と言えるだろう。

 また、歳を重ねるにつれて、年齢が下の人とも付き合うことが増えてくる。そういう時に、どういう年配なら慕われるのかということを意識した立ち振る舞いも必要になってくるだろう。間違っても裏でクソジジイと言われるような存在になっていたら、良い関係は築けないだろう。そういう意味でも「愛される自分づくり」が必要だろう。これも一朝一夕でできることではないから、やはり早い段階から磨いていく必要はあるだろう。

3つ目は「社会価値創造能力資産」社会に価値を創出できる能力。

 社会価値創造能力資産とは、あまり聞き慣れない言葉だろうが、特段難しいことはない。これがあれば、2000万円なんてなくてもどうにでもなる。つまり、自分の価値を活かして社会に価値を提供できる能力を身につけておくということだ。100年時代の最後の30年は少なくとも「お給料」は入ってこない。自分で社会と直接接して、価値を生み出し、誰かの役に立つことだ。

 これをあえて「資産」と呼んでいるのには2つ理由がある。

 まず一つ目は経済的理由だ。仮に2000万円の貯蓄がなくても、お金を生み出す能力、つまり社会の課題を解決して価値を生み出す能力があれば、お金に困ることはない。自分自身の能力ほど利回りのいい資産はない。早いうちからしっかりと投資していく価値がある。

 そしてこれらを一つの理由は「健康」と「美容」だ。社会に価値を生む能力がなぜ健康に関係するんだ?と思った人もいるかもしれない。あなたの周りにもびっくりするくらい若々しいご年配の方や、逆に年齢が若いのに妙に老け込んでいるなという人もいるのではないだろうか。

 この違いは社会との関わりがあるかどうかが大きく影響している。

 私の父親は、サラリーマンだったが、情報の最前線をいく仕事をしていた。その会社を引退後、少しフリーで仕事をしたが、ある時、完全引退をしてから一気に老け込んだ。カッコイイ親父だったが、今はすっかりおじいちゃんみたいな言動になり、見た目もそれに伴って老けていった。(それでも尊敬して越えるべき壁だと思っているが。)

 一方で今私のビジネスパートナーで未だ現役で社会活動をしている人で、私の父親よりも歳上の方がいるのだが、彼は実年齢より15歳は若く見えるし、活動量も勉強量も40歳の私がびっくりするくらいだ。

 この対象的な二人だけでなく、いつまでも若々しく元気に歳を重ねている人たちや、年齢の割にはすっかり老け込んでいる人たちを見ていると、私たち人間は社会的生き物であり、社会に価値を提供していると同時に社会からエネルギーをもらっているのだということがわかる。若くして老け込んでいる人は、会社には属しているが自分の作業にのみ終始し、ただ仕事の時間が過ぎるのを待っているようなタイプは老けやすい。30代をすぎたあたりから老け込む人はどんどん老け込んでいく。

貯蓄をするのではなく、これらの3つの資産構築に金も時間も投資する。

若いうちから貯蓄をしていくのも悪くないが、ひたすら貯蓄をしていくだけでなく、これらの3つの資産形成に対して「時間」と「金」を投資していくことがまず大事ではないかと思う。特に「時間」をどう使うかは、これらの資産形成において非常に重要なファクターとなる。

人生の経営者は自分自身であって、他人ではない。他責にしているうちはあなたの人生なにも変わらない。国のせい、環境のせい、誰かのせいにしている暇があったら、この3つの資産形成に時間を使おう。

 

 

古澤慎之介
古澤慎之介プロデューサー・編集長

ULL編集長、マーケティングのノウハウと、エネルギーマネジメントを武器に、組織課題の発見と解決プランの策定、さらには実行する際のチームビルドと人材育成までを支援。
“日本にもっと「イイ顔」している人を増やしたい“という想いのもと、広告会社、エンタテインメント会社での経験を経てマーケティングディレクターとして独立。マーケティング課題の発見と、ソリューションの提案だけでなく、実行できるようメンバーの育成、チームビルディングまで行う。自身の実践的な体験からエネルギーマネジメントという独自の人材育成の理論とコーチングの手法で、人のポテンシャルを最大化し組織の本当の力を引き出す。

一般社団法人グローバルリーダーシップコーチング協会(GLC)の立ち上げで出会った藤井義彦氏と世界で活躍する講演家のジムバグノーラ博士をメンターとして師事、2018年、ジムバグノーラ博士より「PhB・マスター・プラクティショナー」として認定される。


【活動領域】
●マーケティング戦略 ●組織変革・チームビルディング ●パーソナルブランディング ●コーチング ●PhBマスタープラクティショナー ●クレイセラピー(国際クレイセラピー協会認定クレイセラピスト) ●エネルギーマネジメント